商標登録の区分【第32類】の注意点

商標登録の区分【第32類】の注意点

商標登録を申請をする際、区分を指定しないといけないらしいけど、どの区分を選べばいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、商標登録の区分のうち、第32類(2022年時点)の商品を指定する際の注意点について、さっくり説明したいと思います。

目次

商標登録の区分【第32類】の商品を指定する際に特有の注意点

商標登録の区分【第32類】は、主に『アルコールを含有しない飲料及びビール』の区分でした。

商標登録の区分【第32類】の商品を指定する際には、特に、以下の点に注意しましょう!

商標登録の区分と商品・役務の関係は適切か?

第32類以外の商品を第32類で指定すると不明確だという拒絶理由を受けてしまいます。
例えば、商品提供のやり方等によって区分が異なっており、紛らわしいので注意が必要です。

野菜ジュース

飲料用のものは第32類、調理用のものは第29類に該当します。

第29類「調理用野菜ジュース」
第32類「飲料用野菜ジュース」

テイクアウトとイートイン

ファーストフード店などでは、来店したお客さんが購入した料理を店内で食べる場合と持ち帰る場合が想定されますが、店内飲食用の飲料の提供は、第43類に属する役務である「飲食物の提供」に該当します。
一方で、持ち帰り販売用の飲料の提供は、自身の商品を販売していることに当たるため、例えば、第32類「果実飲料」などのように、商品を指定する必要があります。

第32類「果実飲料」など
第43類「飲食物の提供」

テイクアウト商品の配達

店舗では商品を提供せずに、宅配やテイクアウトで商品を提供するような店の場合、例えば、ピザ店であれば商品として第30類の「ピザ」を指定する必要があるとされております。同様に、宅配やテイクアウト専門の果物ジュース店の場合、第32類の「果実飲料」を指定することになると考えられます。
一方で、他人から依頼を受けてテイクアウト商品を購入し配達するという役務は、第39類の「食品の配達」に該当するとされております。

第32類「果実飲料」など
第39類「食品の配達」

第32類以外の区分も追加しておかなくて大丈夫か?

例えば、果物ジュースを提供する場合、テイクアウトとイートインの両方に使用する商標であれば、第32類「果実飲料」だけでなく、第43類「飲食物の提供」を含めた2区分を指定して出願するのがよいでしょう。

商標登録の区分【第32類】の商品を指定する際の一般的な注意点

第32類の商品を指定する際には、以下のような点にも注意しましょう!

商品や役務の指定に不足はないか?

現時点で商標を使用していない商品や役務についても、近い将来、使用する予定がある場合には、指定することができます。
一方で、一旦、特許庁へ商標出願の手続きを行った後で、その商標出願に商品や役務の指定を追加することはできませんので、商標を使用する商品や役務を全て指定しているか、特許庁へ願書を提出する前に、十分確認しましょう。

商品や役務の記載は適切か?

区分が正しくても、商品や役務の記載の仕方が不明確だと拒絶される場合があります。上述のとおり、願書に商品・役務を記載する場合には、特許庁の「類似商品・役務審査基準(第14類)」に掲載されている商品・役務の名称を記載するのがよいでしょう。

必要以上に多くの商品や役務を選択していないか?

一方で、必要以上に多数の商品や役務を指定すると、以下のようなリスクが発生しますので、ご注意下さい。

追加の手続きが発生するリスク

指定した商品・役務を類似する商品・役務別にグループ分けしたときに、その類似のグループが所定の数を超えると、特許庁に対して、商標の使用意思を示す書類の提出が必要となり、追加の手続きが発生してしまいます。

他者商標との関係で拒絶を受ける可能性が高まるリスク

例えば、他者が同一・類似の商品・役務に対して、同一・類似の商標を先に商標登録しているような場合には、自分の出願した商標が拒絶されてしまう可能性があります。必要以上に数多くの商品・役務を指定した場合、他者の登録商標等との関係で拒絶されてしまう可能性が高くなるかもしれません。

不使用取消のリスク

指定した商品や役務に対して商標を使用していない状態が3年以上続くと、不使用取消審判を請求された場合、商標登録が取り消されてしまう可能性が発生します。

まとめ

以上、商標登録の区分のうち、第32類についての説明でした。第32類は主に『アルコールを含有しない飲料及びビール』の区分ですが、商品を指定する際は、色々と注意する必要がありそうですね。

色々と調べたりしたけど、やっぱりよく分からないという場合には、特許庁への手続きも含めて、弁理士に手続きの代理を依頼してみるのもよいかもしれませんね。

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