商標登録の区分【第30類】の注意点

商標登録の区分【第30類】の注意点

商標登録を申請をする際、区分を指定しないといけないらしいけど、どの区分を選べばいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、商標登録の区分のうち、第30類(2022年時点)の商品を指定する際の注意点について、さっくり説明したいと思います。

目次

商標登録の区分【第30類】の商品を指定する際に特有の注意点

商標登録の区分【第30類】は、主に『加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料』の区分でした。

商標登録の区分【第30類】の商品を指定する際には、特に、以下の点に注意しましょう!

商標登録の区分と商品・役務の関係は適切か?

第30類以外の商品を第30類で指定すると不明確だという拒絶理由を受けてしまいます。
例えば、以下の商品は材料等によって区分が異なっており、紛らわしいので注意が必要です。

惣菜

「惣菜」「その他の惣菜」の表示は、その具体的な内容が不明ですので、主材を明確にすることが求められます。例えば、下記のとおり、第30類に属する商品(米、パスタ及びめん類等)を主材とした惣菜は第30類で、第29類に属する商品(食肉、魚、果実及び野菜等)を主材とした惣菜は第29類で採択可能とされております。

第29類「肉を主材とする惣菜」、「野菜を主材とする惣菜」、「肉と野菜を主材とする惣菜」
第30類「穀物を主材とした惣菜」、「パスタを主材とする凍結乾燥した惣菜」

料理名

料理名については、当該料理の主材により、例えば、下記のとおり、第30類に属する商品を主材とした料理の料理名は第30類で、第29類に属する商品を主材とした料理の料理名は第29類で採択可能とされております。

第29類「鶏のからあげ」、「筑前煮」、「タジン(調理済みの肉、魚、野菜を用いた料理)」
第30類「リゾット」

菓子

果物、野菜、豆類又はナッツを主原料とした菓子・スナック菓子は第29類に含まれ、それらを除く菓子・スナック菓子(例えば、砂糖菓子、チョコレート、アイスクリーム、穀物・米を主原料としたもの)は第30類に含まれます。

なお、果物をふんだんに使用したケーキのように、原材料の中で、果物の方が生地よりも重量の割合が大きい場合でも、国際分類上、「ペストリー」及び「コンフェクショナリ―」、「アイスクリーム」、「チョコレート」は、第30類に分類されることになっています。

第29類「野菜を主原料とする菓子」、「豆類を主原料とするスナック菓子」、「甘納豆」、「焼きりんご」
第30類「砂糖菓子」、「穀物を主原料とするスナック菓子」、「ようかん」、「チョコレート」、「クッキー」「アイスクリーム」、「フルーツゼリー」

テイクアウトとイートイン

ファーストフード店などでは、来店したお客さんが購入した料理を店内で食べる場合と持ち帰る場合が想定されますが、店内飲食用の料理の提供は、第43類に属する役務である「飲食物の提供」に該当します。
一方で、持ち帰り販売用の料理の提供は、自身の商品を販売していることに当たるため、例えば、第30類「弁当」などのように、商品を指定する必要があります。

第30類「弁当」など
第43類「飲食物の提供」

テイクアウト商品の配達

店舗では商品を提供せずに、宅配やテイクアウトで商品を提供するような店の場合、例えば、ピザ店であれば商品として第30類の「ピザ」を指定する必要があるとされております。同様に、宅配やテイクアウト専門の弁当店の場合、第30類の「弁当」を指定することになると考えられます。
一方でで、他人から依頼を受けてテイクアウト商品を購入し配達するという役務は、第39類の「食品の配達」に該当するとされております。

第30類「弁当」など
第39類「食品の配達」

第30類以外の区分も追加しておかなくて大丈夫か?

例えば、菓子であれば、上述のとおり、果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするか否かで2つの区分に分かれていますので、両方に使用する商標であれば、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」だけでなく、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」を含めた2区分を指定して出願するのがよいでしょう。

商標登録の区分【第30類】の商品を指定する際の一般的な注意点

第30類の商品を指定する際には、以下のような点にも注意しましょう!

商品や役務の指定に不足はないか?

現時点で商標を使用していない商品や役務についても、近い将来、使用する予定がある場合には、指定することができます。
一方で、一旦、特許庁へ商標出願の手続きを行った後で、その商標出願に商品や役務の指定を追加することはできませんので、商標を使用する商品や役務を全て指定しているか、特許庁へ願書を提出する前に、十分確認しましょう。

商品や役務の記載は適切か?

区分が正しくても、商品や役務の記載の仕方が不明確だと拒絶される場合があります。上述のとおり、願書に商品・役務を記載する場合には、特許庁の「類似商品・役務審査基準(第14類)」に掲載されている商品・役務の名称を記載するのがよいでしょう。

必要以上に多くの商品や役務を選択していないか?

一方で、必要以上に多数の商品や役務を指定すると、以下のようなリスクが発生しますので、ご注意下さい。

追加の手続きが発生するリスク

指定した商品・役務を類似する商品・役務別にグループ分けしたときに、その類似のグループが所定の数を超えると、特許庁に対して、商標の使用意思を示す書類の提出が必要となり、追加の手続きが発生してしまいます。

他者商標との関係で拒絶を受ける可能性が高まるリスク

例えば、他者が同一・類似の商品・役務に対して、同一・類似の商標を先に商標登録しているような場合には、自分の出願した商標が拒絶されてしまう可能性があります。必要以上に数多くの商品・役務を指定した場合、他者の登録商標等との関係で拒絶されてしまう可能性が高くなるかもしれません。

不使用取消のリスク

指定した商品や役務に対して商標を使用していない状態が3年以上続くと、不使用取消審判を請求された場合、商標登録が取り消されてしまう可能性が発生します。

まとめ

以上、商標登録の区分のうち、第30類についての説明でした。第30類は主に『加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料』の区分ですが、商品を指定する際は、色々と注意する必要がありそうですね。

色々と調べたりしたけど、やっぱりよく分からないという場合には、特許庁への手続きも含めて、弁理士に手続きの代理を依頼してみるのもよいかもしれませんね。

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