商標登録の区分【第1類】の注意点

商標登録の区分【第1類】の注意点

商標登録を申請をする際、区分を指定しないといけないらしいけど、どの区分を選べばいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、商標登録の区分のうち、第1類(2022年時点)の商品を指定する際の注意点について、さっくり説明したいと思います。

目次

商標登録の区分【第1類】の商品を指定する際に特有の注意点

商標登録の区分【第1類】は、主に『工業用、科学用又は農業用の化学品』の区分でした。

商標登録の区分【第1類】の商品を指定する際には、特に、以下の点に注意しましょう!

商標登録の区分と商品・役務の関係は適切か?

第1類以外の商品を第1類で指定すると不明確だという拒絶理由を受けてしまいます。
例えば、以下の商品は用途等によって区分が異なっており、紛らわしいので注意が必要です。

除菌剤

工業用のものは第1類、洗濯用のものは第3類、これら以外のものは第5類に該当します。

第1類「工業用除菌剤」
第3類「洗濯用除菌剤」
第5類「手指用除菌剤,除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)」

消臭剤

工業用のものは第1類、身体用のもの、動物用のもの及び口臭用のものは第3類、これら以外のものは第5類です。

第1類「消臭剤(工業用のものに限る。)」
第3類「口臭用消臭剤,愛玩動物用消臭剤」
第5類「くつ用消臭剤,トイレ用消臭剤,消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」

抗菌剤

工業用のものは第1類、洗濯用のものは第3類、これら以外のものは第5類です。

第1類「工業用抗菌剤」
第3類「洗濯用抗菌剤」
第5類「浴室用抗菌剤,皮膚用抗菌剤,抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)」

写真又は映画用フィルム

未記録か記録済みかによって区分が異なります。

第1類「未露光フィルム」
第9類「露光済みフィルム」

第1類以外の区分も追加しておかなくて大丈夫か?

例えば、除菌剤や抗菌剤であれば、上述のとおり、工業用、洗濯用、それ以外の用途で3つの区分に分かれていますので、工業用と洗濯用の両方に使用する商標であれば、第1類(工業用)だけでなく、第3類(洗濯用)を含めた2区分を指定して出願するのがよいでしょう。

商標登録の区分【第1類】の商品を指定する際の一般的な注意点

第1類の商品を指定する際には、以下のような点にも注意しましょう!

商品や役務の指定に不足はないか?

現時点で商標を使用していない商品や役務についても、近い将来、使用する予定がある場合には、指定することができます。
一方で、一旦、特許庁へ商標出願の手続きを行った後で、その商標出願に商品や役務の指定を追加することはできませんので、商標を使用する商品や役務を全て指定しているか、特許庁へ願書を提出する前に、十分確認しましょう。

商品や役務の記載は適切か?

区分が正しくても、商品や役務の記載の仕方が不明確だと拒絶される場合があります。上述のとおり、願書に商品・役務を記載する場合には、特許庁の「類似商品・役務審査基準(第1類)」に掲載されている商品・役務の名称を記載するのがよいでしょう。

必要以上に多くの商品や役務を選択していないか?

一方で、必要以上に多数の商品や役務を指定すると、以下のようなリスクが発生しますので、ご注意下さい。

追加の手続きが発生するリスク

指定した商品・役務を類似する商品・役務別にグループ分けしたときに、その類似のグループが所定の数を超えると、特許庁に対して、商標の使用意思を示す書類の提出が必要となり、追加の手続きが発生してしまいます。

他者商標との関係で拒絶を受ける可能性が高まるリスク

例えば、他者が同一・類似の商品・役務に対して、同一・類似の商標を先に商標登録しているような場合には、自分の出願した商標が拒絶されてしまう可能性があります。必要以上に数多くの商品・役務を指定した場合、他者の登録商標等との関係で拒絶されてしまう可能性が高くなるかもしれません。

不使用取消のリスク

指定した商品や役務に対して商標を使用していない状態が3年以上続くと、不使用取消審判を請求された場合、商標登録が取り消されてしまう可能性が発生します。

まとめ

以上、商標登録の区分のうち、第1類についての説明でした。第1類は主に『工業用、科学用又は農業用の化学品』の区分ですが、商品を指定する際は、色々と注意する必要がありそうですね。

色々と調べたりしたけど、やっぱりよく分からないという場合には、特許庁への手続きも含めて、弁理士に手続きの代理を依頼してみるのもよいかもしれませんね。

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